クリニック・ハイジーアは、PMS/PMDDを根本治療

PMS/PMDDとは?病因・病態生理

PMSの発生は多岐にわたる要因が相互に関係しており、日本産科婦人科学会は現在でも不明な点が多いとしています。
過去には、βエンドルフィン説、卵巣女性ホルモンの周期的変化が有力な説とされていました。
矢本希夫(日常臨床で遭遇したら)月経前症候群(PMS)への対応 日産婦誌 1999:51:N151-N154

PMSの病態 PMSの病態

下記に、標準的なPMSの病因を示します。

PMSの病因
  1. 性格説
  2. 心因説
  3. エストロゲン過剰説
  4. プロゲステロン不足説
  5. エストロゲン/プロゲステロン比 高値説
  6. オピオイドペプチド消退説
  7. ビタミン欠乏説
  8. 神経伝達物質代謝異常説
  9. プロスタグランディン分泌異常説
  10. プロラクチン分泌異常説
  11. 骨盤内鬱血説

うつ病を罹患した患者ではセロトニン活性が低下していることが知られていますが、プロゲステロンの分泌低下がセロトニン分泌の低下をきたすため、抑うつ、易疲労性、イライラなどを引き起こすとされています。 またプロゲステロンの代謝産物であるallopregnanoloneの低下は脳内のGABA活性の低下の原因となり、易疲労性、不安、抑うつなどの症状が起きるといった説もあります。 しかし欧米ではプロゲステロンの重要性については、下記の報告のとおり否定的です。

  1. 黄体期後期のプロゲステロンの低下が、GABAなどの神経伝達物質にも作用し、月経前症状を引き起こすと考えられていたが、多くの女性が黄体期全期から症状を持つ。
    Schmidt PJ, Nieman LK, Danaceau MA, Adams LF, Rubinow DR. Differential behavioral effects of gonadal steroids in women with and in those without premenstrual syndrome. N Engl J Med 1998;338:209-216
    Smith SS, Ruderma Y, Frye C, Homanics G, Yuan M, Steroid withdrawal in the mouse results in anxiognic effects of 3alphe, 5beta-THP:a possible model of premenstrual dysphoric disorder. Psychopharmacology 2005;29:1-11
    Sundstrom Poromaa I, Smith S, Gulindello M. GABA receptors, progesterone and premenstrual dysphoric disorder. Arch Women Ment Health 2003;6:23-41
  2. 排卵日前のエストロゲンのピークと排卵後のプロゲステロンの上昇が症状発現に関与していると考えられていたが、PMS症状の発現が排卵後であったり、または黄体期後期に症状が起きるなど個人差があるため、個人差の違いを女性ホルモンだけでは説明ができない。
  3. PMSの治療としてGnRHaによって卵巣機能を抑制しても、1か月のプロゲステロン投与で症状が発現したため、プロゲステロンの投与の効果がなかった。
  4. PMS症状発現に関して、エストロゲンと比較してプロゲステロンの重要性は未だ明らかという訳ではない。それは、気分障害を引き起こすのはエストロゲンよりもプロゲステロンが影響していると示唆されている。エストロゲンが閉経周辺期のうつ女性に対し抗鬱様の作用をすることは知られているが、一方エストロゲンは、PMS様症状の発症に、ゲスターゲンと同程度の効果があると報告されている。その上エストロゲンは、ゲスターゲン誘発気分障害を憎悪させるといった報告もされている。
  5. 性ステロイドホルモンの酸性は、PMS症状の有無に関係しない。PMS症状を持つ患者は、正常者と比較して性ステロイドホルモンへの反応が増強していることが関係しているかもしれない。

セロトニンがPMSの病態生理に関与していることが指摘され、最近ではセロトニン説が注目されています。
その理由として、下記のように報告があります。

  1. 月経前の症状にはSSRI(選択制セロトニン再取り込み阻害薬)が多く処方されますが、セロトニンが増強する治療により効果的に軽快すると報告されている。
    Landen M, Eriksson O, Sundblad C, Andersch B, Naessen T, Eriksson E, Compounds with affinity for serotoniergic receptors in the treatment of premenstrual dysphoria : a comparison of buspirorre, nefazodone and placebo. Psychopharmacology 2001;155:292-298
  2. トリプトファンはセロトニン合成に必要な必須アミノ酸ですが、トリプトファンが不足した食事内容、つまりたん白質の摂取不足や、セロトニン受容体アンタゴニストによる処置なので、セロトニン神経系の機能低下は月経前症候群を引き起こす。
  3. セロトニン伝達系のさまざまな指標が、PMS症状を持つ女性では異常を呈していると報告されている。

また、セロトニンだけでなく、GABAもPMSに関連する神経伝達物質であります。
プロゲステロン代謝物質が、GABA‐A受容体に相互作用することが分かっているものの、PMS症状に悩む女性だけがGABA-Aが調節するプロゲステロン代謝物質の異常を有しているかどうかは、はなはだ疑問でもあります。
GABAニューロンとセロトニンニューロンには相互関係がありますが、これはセロトニンと同様にGABAがPMS病態生理においては重要であることを示しています。
SSRIのいくつかは、GABA-A受容体を調節するプロゲステロン代謝物の産生に関与する酵素を阻害することが報告されています。
その一方で、ビタミンB6とマグネシウムは、トリプトファンがセロトニンに、グルタミン酸がGABAに変化するときの補酵素です。
そしてセロトニンは、ドーパミンの作用を抑制し、GABAは脳全体の神経興奮を抑制するように働きます。
ビタミンB6とマグネシウムの不足が、PMS/PMDD症状の一因となることが容易に考えられます。
腸管蠕動運動に必要なセロトニンは、90%が腸で作られます。
そのため、腸内環境の健全性も非常に重要であることも、最近では報告されています。